海賊対策へ自衛隊

メルマガ申し込み
http://www.melma.com/backnumber_101064/

海賊対策へ自衛隊

日本とヨーロッパをつなぐ大切なシーレーンの要所であるスエズ運河を通過するに際して、海賊の跋扈で船舶の安全性が大きくそこなわれています。

昨年五月、日本のクルーズ客船三隻が世界一周でこの海域を通過する時に警告がでましたが、どうしようもなく、全速力で強行突破しました。乗客はデッキに出ることも許可されず、ただひたすらこの海域を無事に通過することを祈ったそうです。

今年もまた5月には二隻がこの海域を通過します。残る一隻はこの危険地帯を避けて、他のルートを採用します。1000名をこえる大勢の日本人が乗船する客船が海賊に襲われたら、日本中があらためて海上運行の安全性につき認識し大騒ぎになること必定です。でも被害が出てからでは遅すぎるのです。

そんな事情もあるのか、ないのか知りませんが、このほど政府は海賊対策として自衛艦の派遣を決めて準備に入りました。このこと自体は当然のことだと思います。今まで日本の船舶の安全は他国に依存してきたわけですから、自国民の安全を守るという国としての責務をきわめて遅まきながら果たすことになります。

本来このような警察行動は海上保安庁の仕事ですが、ロケット砲をそなえた海賊に対峙するのはやはり軍隊である必要があることもまた明確です。

ところが日本国憲法の規定で、武器使用や外国船の護衛等に制約があります。しかし戦争をするわけではありません。海上における警察行動に参加するのです。新しい法律で、世界の常識にそった活動を自衛艦に実施させなければなりません。

ここは与野党を問わず、党派をこえて日本が国際的に果たすべき役割について、早急に、且つ真剣に討議して、自衛艦が現地に到着する頃には法的整備を完了する必要があると思います。野党は安易に自衛艦を海外派遣することに反対で、その気持ちも理解できないわけではありませんが、それなら、それに代わる有効な対策を示すべきでしょう。

アフガンにしろ、海賊対策にしろ「何もしない」ですむ時代ではもはやありません。まして日本はG7に加入する大国です。国際的な責務を果たすために、国をあげて真剣に考えて迅速に行動する必要があることを政治家は自覚して欲しいと思います。